LLC Books という会社について

Magma Albums: Mekanik Destruktiw Kommandoh, Theusz Hamtaahk, Kohntarkosz, K.A., Urdah Itah, Magma, Udu Wudu, 1001 Centigrades, Live-


LLC Books という会社がこのような本を出している訳で, 取り敢えず会社名で検索してみたら成る程, Wiki を印刷した物を製本して売っている"だけ"という陳腐な集団でした。皆々様はくれぐれもご注意ください。

ただ, Wurdah Itah を P ( に見える ) urdah Itah 等と表記している点には感心しました。ただの誤植か, 発音に配慮でもした積もりなのか, 的外れですが, 下手な鉄砲でも数撃ちゃ当たるような偶然を感じさせます。

LLC Books で検索すると他にも大量に出てきますが, 誰が買うのでしょう。
 

『Level Five』(2001)



 一度この音源を紛失してしまい、そのまま6年程聴いていなかった計算になるのですが、いい加減どうにかしなければと思っていたところに通販で\1000切っていたのを発見してしまい、買い直しました。

 恐るべき発見をしました。「Virtuous Circle」が全然違う。6年間のブランクがあるとはいえ、「Dangerous Curves」と「Level Five」はSEやAdrianのソロフレーズまでほぼ完全に覚えていたので、安心して聴けていたのですが、「Virtuous Circle」だけは別物が収録されていて、不意を突かれました。日本盤と輸入盤では内容が異なるということは当時から知られていたようで、我ながら素通りしていた理由が分かりません。

 私の記憶が確かなら、日本盤の「Virtuous Circle」はストリングスの嵐でエネルギーに満ちたものです。これに対し、輸入盤の方はスティックの主張強めなカオス的セッション、といったところです。私の好みは断然日本盤の方です。また買い直しですか。
 

『Ëmëhntëhtt-Rê』(2009)



何時の間にかtが2つ重なるようになった『Ëmëhntëhtt-Rê』をやっと入手しました。今回はライナー・ノーツが豊富らしかったので国内仕様を通販で予約していたら、某メール便が3日もかけて配達して下さったのでした。

届いたのは所謂デジパックもので、見事に背の部分が潰れていて、折り目がついていました。幸い、両ディスクに歪みはありませんでした。『La Vie Electronique !』シリーズ(輸入盤がいつも在庫切れなのは何で?)でも同様の現象が見られているらしいので、この手のものは店頭で買うに限ると思ったのでした。

この曲は、既に多くの音源で一部が公開されていましたが、それでもスタジオ録音ならではの良さがありました。
また、スタジオ録音のメイキングを収録したDVDは大変興味深く、また面白いものです。


[CD]

Ëmëhntëhtt-Rê I / エメンテト・レ I  6:54

過去の、「Ëmëhntëhtt-Rê part 1」〜「Rindoh」まで。
冒頭部にはChristianによる、コバイア語とも若干感触が異なる言語にて、怪しい独り言が収録されていて、不意を衝かれます。残りは大体予想通り。ただし「Rindoh」はStellaが担当していると思われます。

Ëmëhntëhtt-Rê II / エメンテト・レ II  22:24

「Ëmëhntëhtt-Rê part 2」〜「Hhaï」〜「Zombies」まで。
「part 2」は『Üdü Wüdü』最後にも収録されていたものと同様、Christianが歌っています。「Ätüh」の部分が山場です。付属の歌詞ノートにもそう書いてあるところを見ると、歌った後に耳コピで歌詞を決定しているのでしょうか。
「Hhaï」は、スタジオ録音ならではの仕様で、ドラム演奏付きです。
「Zombies」では、私がライヴでいつもミスをしていると思っていた部分が実は意図的なものであったことが判明しました。Bussonnetのベースは『Nancy 75』でTopがやっていたような演奏で、次のパートでも似たようなことをコーラス隊がやっており、不思議なリズム感を生み出しています。

Ëmëhntëhtt-Rê III / エメンテト・レ III  13:08

ここから先はCD未発表パート。どうやらエメンテト・レなる古代エジプトの大導師は霊魂の物質化の志半ばで暗殺されたそうで、これはその前後といったところでしょうか。悲鳴のような演奏、コーラスは実は付属のDVDでちらりと聴けるものの方がかなり音質が良いのが残念なところですが、ラスト付近での"幻視"の表現はライヴで再現することは恐らく不可能な演出で、圧倒されます。過去のMAGMAでは見られなかった表現の世界です。
他にもピアノがいつになく攻撃的であったりと聴き所満載で、全体を通して最も緊張感溢れるパートになっています。

Ëmëhntëhtt-Rê IV / エメンテト・レ IV  3:55

穏やかな余韻に浸かる感じ。

Funëhrarïum Kanht / 死者の間: 弔いの歌  4:14

ライヴで聴いた時は、この低音はどの楽器から出ているのかと思ったものですが、CDではそれ程でもありませんでした。内容は、まさに葬送の儀といった感じ。

Sêhë / セヘ: 祈り  0:26

混沌としたノイズの中でChristianが再び冒頭と同様の呪文を呟いています。

  • 随所で音が掠れるような感じがあり、音質的には満足できるものではありませんでしたが、内容自体は、私は好きです。5月の時点では暗い曲だと思っていましたが、そういった俗な感覚とはやはり無縁な音楽であると、今では思います。


[DVD: PHASES]
56分程の収録時間で、各メンバー(コーラス以外)の演奏録音・議論の風景が収録されています。
作りかけの曲が再生されたりもしますが、私にはそれが完成品のCDよりも音質が良く聴こえて、とても羨ましく思いました。『K.A』の時も感じましたが、CDよりも大容量のメディアを贅沢に使った音質の良いスタジオ録音盤が聴きたいものです。


若きBrunoをChristianが熱心に指導している姿を微笑ましく思ったり、ヘッドフォンを付けて試聴中の、トリップしているChristianの姿が見られたりと嬉しい内容です。

  • 70年代の大規模遺産整理という大仕事を終えたMAGMAですが、「Slag Tanz」や「Félicité Thösz」等の優れた新作を抱えていますし、化物級の「Zëss」も残っています……そういえば「Theusz Hamtaahk」はどうなるのでしょう。無理をせずに頑張って頂きたいものです。