『Theatre du Taur - Concert 1975 - Toulouse』



 『Hhai』という初心者向けライヴ盤がありますが、それと同時期に行われたライヴです。音質は高域が潰れ気味ですが、聞き苦しくなるようなものではありません。低音は高域の代わりに凄まじい録音です。
 特にベルナール・パガノッティがMAGMAにおいて何を為したかを詳しく知りたい方に本音源を強く推します。

Köhntarkösz  32:29

 イントロはやや音が潰れ気味ですが、力強い「ハマタイ!」までしっかり収録されています。
 さて数多い「Köhntarkösz」のライヴ盤の中でも本音源は屈指の出来栄えです。『BBC 1974』のところでも書きましたが、前半のところで、本来ロックウッドのヴァイオリンが鳴らされる部分で、それが聴こえてこない。代わりに我々の耳にこだまするのは、パガノッティによるこの世の負の要素をすべて注ぎ込んだような暗く重いベースです。加えて、フェンダー・ローズの暗澹たる嘆きの響きが見たくない光景を見せ付けてくれます。最高です。「Part One」だけでこれ程素晴らしいと感じることが出来るのは、他にはスタジオ録音ぐらいです。
 最後の方、超絶のフィナーレは何しろ高域が潰れてしまっているので若干勿体無い感じもします。

Hhaï  11:19

 ロックウッドの伴奏が引っ込み気味であり、『Hhai』のものよりも荘厳さに欠ける部分はありますがヴァンデの歌は綺麗に入っており、満足です。

Kobaïa  11:48

 この曲は管楽器が入っていないのといるのとでは印象が全然違ってきます。この時期にはそんなものは無かったのでギター氏が頑張っていたりするのですが、あまり好きにはなれません。わたしがこの曲を本当に凄いと感じたのは『Mythes et Legendes vol.1』での演奏が初めてです。そちらをお薦めします。

Mekanïk Destruktïw Kommandöh  38:16

 冒頭の演説もそこそこに、結構強烈な幕開けをします。『Hhai』では「Da Zeuhl Wortz Mekanik」からの収録でしたが、こちらは完全長で聴けますが、例によって高域が大人しめなので、ステラの声などがあまり聴こえません。演奏はかなり高速に突っ走る部分なども見受けられ、なかなか熱が入っていることが分かります。
 「Da Zeuhl Wortz Mekanik」は『Hhai』と同じく声の方はいまいち盛り上がりに欠けます。「Mekanik Zain」の方はパガノッティの低音が素晴らしい響きを持っていますが、前半の「Nebëhr Gudahtt」は『Hhai』で聴けたものほど凄まじくはありません(が展開の仕方は好きです)。「Mëkanïk Kömmandöh」も声が引っ込んでいてあまり面白くありません。