『Inedits』





 72-75年頃のスタジオ / ライヴ音源を発掘したもの。音質はEarthbound的であり、全然悪くありません。この音源にはかなり重要な「KMX」や面白い「K.A」の前身が収録されており、特に前者の方は是非とも聴いておきたいところです。

Sowiloï + KMX - E12 - opus 3 (Début 1974)  13:47

 タイトル通り2つの楽曲からなり、まとめて別名が付いていたりもします。前半の曲は初期のライヴでも聴けた、穏やかで耽美的な作品です。よくあるパターンですが、それに対比する形でヤニック・トップの手による動的な「KMX」が配置されています。因みにこの「KMX」は、後半にギター・ソロが入るタイプ。しかし『Nancy 75』で聴けるものとは大分印象が異なります。

KMX - B12 - opus 7 (Gibus Club, Paris 26 septembre 1974)  6:20

 そしてこちらはひたすらトップのソロが聴けるタイプ。ベースの録音状態も前曲より良く、凄まじい演奏を聴くことができます。ヴァンデのドラムですら霞んでしまう勢いでバキバキと弾いています。彼の残した足跡はインスピレーションの塊のようです。

Om Zanka (Répétition Drancy - 21 janvier 1975) / 聖なる太陽  5:38

 「K.A」が出た今となっては資料的要素が強くなった感があります。収録時間も中途半端ですし、演奏の方もあまりパッとしません。

Gamma (Orry-la-Ville - juin 1973)  4:11

 "Anteria"という単語には"初期の"といった意味があります。つまり「Gamma Anteria」の完成形がこの「Gamma」なのですが、結局このヴァージョンは現在、お蔵入りとなっています。どことなく能天気な感じであり、これが「K.A」に採用されなくて良かったと思わずにはいられません。

Terrien Si Je T'ai Convoqué (Juin 1972) / 呪われし地球人たちへの提言  4:04

 フェイド・インで始まります。怪しい雰囲気が暫く続き、ヴァンデのお説教が遠くの方で響いています。途中で2000年以降に採用された「Wurdah Itah」の最後の部分が演奏されています。謎の多い曲です。

Gamma Anteria (Studio Aquarium, Paris - 15 février 1973)  7:58

 これもフェイド・イン。所々コーラスが無かったりしますが、今となってはお馴染みのパートをブラスキスが歌っています。「K.A」の同パートが如何に素晴らしく発展したかが良く分かります。「Om Zanka」共々、ヴァンデが「Kohntarkosz」の方に心を奪われていったのも納得がいきます。これらは現在の編成のような強力なコーラス隊無しでは余りにも辛い。