『Udu Wudu』



 彼らの音楽的傾向の変化が顕著に現れている作品です。嫌いな人には一生縁の無いブラックな音楽。

Üdü Wüdü  4:13

 『M.D.K』や『Kohntarkosz』、『Hhai』を経てきた人たちがこの初陣を飾っている曲を聴いたときに受けたであろう衝撃を察してみるのも一興です。突き抜けたトランペットにサックス。例の印章が喜ぶ姿が目に浮かびます。私が彼らの演奏で良いなと感じるものは大抵、あの太陽を象ったロゴに良く似合う気がします。

Weidorje  4:33

 いつも中の下ぐらいの出来であると感じていたのですが、改めてクレジットを見たらこれはベルナール・パガノッティとブラスキスの曲なのでした。道理で、とまでは言いませんが、そういう曲です。

Tröller Tanz  3:46

 一転してかなり良質な曲です。短い時間ながら、曲の流れは良く練られており、これら小曲群の中でも一際面白いと思います。ヴァンデのヴォーカル、トップの重低音過ぎるベースが素晴らしい。惜しくもこれから発展しそうと思えるところでフェイド・アウトします。

Soleil D'ork  3:50

 正直ただ単に退屈な曲、という印象ですがベースだけを聴いていればその重い音色が心地よいです。

Zombies  4:24

 これは良い曲ですが、最近の『Mythes & Legendes Vol.3』で恐ろしく進化したヴァージョンを聴かされて以来、このスタジオ・テイクは地味過ぎて味気ないものと感じます。

De Futura  17:40

 小曲群達の良いとこ取りをしたような大曲。
 例によって前半が嫌われる傾向にあります。何も知らずに初めて聴く人は大体前半で挫折し、素っ飛ばして中ぐらいに移った時に何かが起こっていることに気付けば幸運といったところですね。我々は篩にかけられているのです。
 意外にもこれのライヴ版には碌なのが無くて困ってしまいます。このスタジオ録音で聴けるトップのベースのように自由自在の動きをしている訳ではありませんが『Nancy 75』の1曲目などはスロー・テンポながら心臓の力強い鼓動を思わせます。

Ëmëhntëht-Rê (extrait No. deux)  3:12

 これだけ聴かされてもとても困る中途半端な一品。完全に蛇足です。